うらにわのリター

もう少し上手に生きたい(˘ω˘)

本屋然とした本屋さん

 久しぶりの更新です。「次の更新では絵について書きます」と書いた覚えがありますが、近所の本屋さんが閉店してしまったことについて書こうと思います。

 

 住んでいる場所から気軽に行ける場所にある本屋さんが閉店してしまいました。全国展開しているチェーンの本屋ではなく、地域の本屋さんといった感じのお店でした。閉店の原因は、売り上げがなかった・低かったからではないそうですし、その本屋さんに行ったことは二三度しかなかったのですが、自分に何かできることはなかったのかと悔しく思っています。

 

 というのも、そのお店の雰囲気がとても好きだったからなのです。店に一歩入ると、店内の広さに驚かされます。入口近くの棚は低く、最近発売された本や漫画が平積みになっていて、見やすくなっています。店の奥に進むと、棚の向こうの人の頭が見えるくらいの高さの棚が並んでいます。文庫本からハードカバー、趣味の雑誌まで、色々な種類の本を見ることができます。映像化で話題になった作品はもちろん、出版社のフェアやキャンペーンによって様々な作品が目立つようになっていて、今まで知らなかった本に出会うことができます。

 棚の配置だけではありません。訪れたお客さんは、本と出会うことに集中しているように思えます。レジに向かうと、レジの手前に文房具のコーナーがあります。小学生向けのかわいいキャラクター文具から筆ペン、ファイルやバインダーなど、「あっても困らないよな」と思ってしまう文具が揃っています。必ずしも買わなくてもいいような文具を買いそうになってしまいます。こういう、思わずゆっくり居座ってしまいそうになる本屋さんのことを、「本屋然とした本屋さん」と呼ぶことにしました。

 

 全国チェーンの本屋さんが悪い訳ではないのです。映像化された作品が大きく取り上げられていて見つけやすかったり、レンタルコーナーが併設されていたりします。しかし、そこには地域の本屋さんのような、ゆったりとした時間は流れていないように思います。人の声と音楽が一緒に放送されているし、少し前に出版された、あまり有名ではない本なんかは、置いていないことが多いです。話題になった本とか、よく売れている本を見つけるにはいいところですが、見たことのない本との出会いを求めるには、適していないように思います。

 

 本屋然とした本屋さんで、今まで知らなかった本との出会いとか、ペン一本買うかどうかで真剣に心が揺らいでしまうとか、キャラクター文具を見て一人で懐かしがるとか、そういった経験ができなくなると思うと、とても寂しいです。そして、本当に惜しいことをした、と思うのです。