うらにわのリター

もう少し上手に生きたい(˘ω˘)

お久しぶりです。

一人で引っ越しするのは二回目で、手続きには慣れている筈なのに、相変わらず手間取って、免許の住所変更が最後になるという事態に陥りました。各種証明が面倒。なんでや。今度引っ越すときに困らないよう、今回の引っ越しでどれだけ困ったか、何をどの順番ですべきか、必要な書類は何かをリストアップしておこうと思います。

 

引っ越しをしたと書きましたが、そうです。引っ越しました。環境はもちろん、天候や地形まで違うので困ることが多いです。知り合いがいないので寂しいです。

引っ越し先で新しい人々に色々なことを言われて驚いているのですが、本格的に色々言われるのはこれからだと思うので、今は書かないでおきます。ここには、少し前に起こったちょっと衝撃的だった事について書いて残しておこうと思います。

 

学生時代、友人とよくカラオケに行きました。カラオケ店の近くにはコンビニと牛丼屋があり、よく夕食やお菓子を買いに行ったものです。

牛丼屋には本当によくお世話になりました。カラオケに行ったとき夕食としてテイクアウトしたり、友人に買ってきて貰ったり、故あって早朝に友人二人と足を運んだり。私は決まっておろしポン酢の牛丼を食べました。私には牛丼のご飯が少し多く、汁が沁みたご飯だけが残ってしまうことがありました。そんなとき、ポン酢のしみこんだおろしがあると、元々ポン酢の酸味が好きであることも加わって、ご飯をさっぱり食べきることができました。テイクアウトしたら、おろしだけついてきてポン酢がついてこなかった!なんてこともありましたが、友人にポン酢を借りて食べました。ポン酢以外にも、しっかり煮込まれてくたくたになっているタマネギも好きでした。もちろん牛肉も好きでした。私の中の牛丼と言えばおろしポン酢牛丼であり、思い出の多い牛丼でした。

 

さて、私が今の住所へ引っ越してきて数日経った頃。なんと、近くに牛丼屋があることに気がつきました。学生時代お世話になった牛丼屋とは名前が違うお店ですが、似た雰囲気だろうと考えた私は、自転車で出かけ、夕食をそこで買ってテイクアウトすることにしました。

 

家を出た私は、大学近郊との違いに愕然とします。夜も外食帰りや飲み会帰りの学生が通行していた大学近郊と比べるまでもなく、人気が全くない。車は走っているものの、歩行者や自転車で出歩いている人はまずいません。道路の両脇の店舗はほぼ閉店済み。静かで薄暗い道です。私は怖くなりました。慣れない土地で、スマホの地図を頼りに自転車を走らせます。

私はなんとか牛丼屋にたどり着きました。いざ店に入ってみると、食券を買う機械がないことに気がつきます。この牛丼屋は、お店で食べていく人が席に着いて注文する、という方法で注文を受けるようです。テイクアウトを待つ場所もほぼありません。レジで店員さんにおろしポン酢の牛丼を頼もうとしますが、食事を終えたお客さんの精算を店員さん一人で行っています。さばくのに時間がかかりそうです。客層も大学の周囲とは異なり、若い人はほぼいません。男性が圧倒的に多いように感じました。テイクアウトの注文がしづらいと感じた私は、今まで夜道を走ってきた緊張がさらに高まっていきます。

さらに、私の前に一人テイクアウトの注文をしようとしている人がいました。よく見ると、小学生くらいの男の子です。何を注文するんだろうと思いきや、数人分の色々な牛丼をまとめて注文しています。学生時代に利用していた牛丼屋では、こんなことはありませんでした。その子の受け答えは、大人のようにしっかりしています。大学周辺の店舗で、若い人が利用していたのなら、「私と同じような大学生だろう」と予想がつき、なんとなく安心できたのですが、当たり前の事ながら、今の私にはその子の事情が全くもって予想できません。「ここはどういう土地なんだ!?」私は混乱します。

ようやく私が注文できる番になりました。注文自体はスムーズに行うことができました。しかし、私の注文は男の子の注文の後ですから、私の注文分の牛丼が出てくるまでに少し待つことになりそうです。私は、入り口の狭いスペースで、精算を済ませるお客さんの邪魔にならないよう、隅に身体を寄せて腕を組んで待ちます。

その間、男の子もずっと私の近くで待っています。私は先ほどと同じように、この子がどんな事情でここにいるのかずっと考えていましたが、それを簡単に受け入れられない自分が失礼なような気もして、複雑な気持ちになりました。

 

そうこうするうちに、男の子が牛丼を受け取って出て行き、私も自分の牛丼を受け取って店を後にしました。

帰り道、先ほどと同じように、薄暗い夜道を帰ります。自転車に乗りながら考えます。大学の近くの牛丼屋では、服装や持ち物から、周囲の人がどんな人か、だいたい予想がついていました。ところが、新しい土地ではそうはいきません。大学生が少数派であることは間違いありません。加えて、若い人の方が珍しいような地域です。

周囲に知らない人がたくさんいる。自分は、その人々の人生や、今彼らが自分と同じ場所にいる事情を予想することさえできない。当たり前のことです。しかし、自分と同じような人がたくさんいる地域にいては、それを実感することはほとんどなかった。それ故に安心して、一人で出歩いたり、買い物したりできていた、ということがはっきりと感じられました。

 

薄暗い夜道は、なんだか現実感がありません。今までとは勝手が違うのだと実感して、急に孤独感が強まり、まるで悪い夢を見ているような気持ちになって、家に急ぎます。

 

家に帰って、牛丼を食べました。

いつものおろしポン酢牛丼だ!と思って食べます。ポン酢の容器が違います。なんだかちょっと香りも違う気がします。違うお店なのでそれくらいは仕方ありません。いざ牛丼を食べてみると……。タマネギがシャキッとしています。くたくたしていません。ポン酢の味も違います。カラオケの時に食べた味ではありません。友人と早朝に食べた味でもありません。これは「私の中のおろしポン酢牛丼」ではない!ああ、ここは今までとは全然違う土地なんだ……もうあの牛丼屋は、ここにはないのだ……そう思うと涙が出てきてしまいました。

一人で泣きながら牛丼を食べました。

 

これからも、すぐに心を許せる人間を見つけることは難しいと思うので、直接会える人間のうち誰にも話せない!ということが色々出てくると思います。そのたびに自分の中で整理するためにも、誰かにちょっぴり見て貰うためにも、ちょくちょく更新していこうと思います。「フーン」って見守って貰えたら嬉しいです。